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昔、まだ風俗エステじゃなくてヘルスのお仕事をしている時の話し。昔は今ほど風俗の情報がネット中心でなく、紙(新聞・雑誌)中心だった頃、その当時でもすでに風俗店はHPという物を持っていたし、色々な業種やお店の情報を集めた風俗のポータルサイトという物も当然あった。
ただ、今の様な紙媒体がほとんど絶滅状態(まぁ今でもあるにはありますけど、店探しするときに雑誌を見る人は皆無であろう。ほとんどPCかスマホで検索するわけだし)じゃなかったので、その頃すでにネットの影響で落ち目になりかけてはいたけれど、ナイタイマガジン・ヤンナイ・マンゾクという風俗雑誌が3大風俗雑誌などと言われていた。

その頃、新宿のフェイスで1つの興行で、キックボクシングと総合格闘技の試合を数試合するといった大会が開かれた。大会の名前はダブルカプセルという大会だった。
その格闘技の大会の各試合、試合の合間に一般応募者参加の“勝ち抜き腕相撲大会 優勝者には賞金10万円”というのがあった。
第一回目の大会で、自分はアームレスリングの競技用のテーブルをその大会に貸し(何故かタダで?!)ついでにサブレフリーもやることになった。レフリーは自分のアームレスリングの先生がその時はやった。
第一回目の大会では、腕自慢達がたくさん集まって競い合った。格闘技のプロの選手もいたし、普段から体を鍛えている腕自慢らしき素人さんも参加していた。

自分はレフリー用の縦じまのシャツを着て、試合のレフリングをしながら「こんなので優勝したら、賞金10万円か・・・美味しいな」と思いつつ試合をさばいていた。
その大会はある有名な格闘技のプロの選手が決勝まで行き、もう一つのブロックからは、町の電気屋さんをやっている腕自慢の素人さんが勝ち進んできた。
決勝はプロ格闘家 VS 力自慢の素人さん の組み合わせになった。いよいよ決勝戦、試合が始まると力自慢の素人さんが、プロ格闘家の選手を圧倒してアッサリと勝利した。賞金の10万円はその素人さんの元に。
見ていた自分は「あ、ちゃんと貰えるんだ」という感想だった。格闘技の興行とは、やたらと胡散臭い連中が絡んでいて、有名な格闘技のプロの選手でさえも、まともにファイトマネーを払ってもらえない事もあるので、「へぇ~」といった印象だった。

その大会があってから数か月後。ここで話は最初に戻るのだが、その当時ナイタイマガジンは、「格闘伝説」という、どうしょうもない作りのヘンテコリンな格闘技雑誌を作って売っていた。どこら辺がヘンテコリンかというと、内容が偏り過ぎだったし、ナイタイの社主の円山さんの友人関係にギャラを支払うためなのだろう、格闘技の大会などの記事を書くのに、相応しくない様な人たちがページを持っていたりして、ダメダメな作りだった。
文章もちっとも読ませる内容ではなかったのである。要するにつまらない文章ばかりだった。
そのダメダメ雑誌の格闘伝説が、ある格闘技の大会ののスポンサーになったらしく、ある筋から自分の元へある依頼が来た。その依頼とは・・・・・

ダメダメ格闘技ポンコツ雑誌「格闘伝説」のスポンサードした格闘技の大会とは、件のダブルカプセルという大会だった。キックと総合の2本立てで興行し、合間に優勝賞金10万円の腕相撲大会がある例の大会である。
ナイタイの営業マンが自分が当時やっていたヘルスに来て「修治さん、今度うちの会社がダブルカプセルという格闘技の大会のスポンサーやる事になったんですけど、その大会の合間に賞金10万円の腕相撲大会っていうのがあるんですよ。」と話してきたので、「知ってますよ。だって1回目の大会の時サブレフリーやったの自分ですよ。あの大会で使ったアームレスリングテーブルだって、僕が貸したやつですよ」と。営業マンは「へぇ~!そうだったんですか?!」と驚いていた。

「で、そのダブルカプセルがどうしたんですか?賞金10万円の腕相撲大会は、だってあれはたしかアームレスリングの経験者が出ちゃダメだって事になっているでしょ?!」と言ったら、営業マンは「いやいや、1回目の大会はそうだったんですけど、2回目の大会はアームレスリングの経験者ばかり集まってるんですよ。1回目の大会で本当に賞金10万円を払ったから、噂を聞きつけてアームレスリングの経験者が正体隠して続々とエントリーしてきてるんです。今回はハッキリ言って本当の素人の力自慢なんて2,3人いるか、いないからしいですよ。」と。

「あぁ、そうなんですか?しかし、なんでエントリーしている人達がアームレスリングの経験者だと分かったんですか?そんなのが分かる人は格闘技の関係者にはいないでしょう?」と言ったら、申し込み用紙に書いてある名前と写真を見た、1回目のレフリーである、自分の先生が「あ、こいつ経験者。あ、こいつも経験者だ。こっちもこれも皆アームレスラーばかりだよ」と指摘したので、ばれたらしい(笑)

自分「なるほど、それで自分に相談って何ですか?またサブレフリーやれって事ですか?アームレスリングテーブルを貸せっていうんなら、今回は有料ですよ。前回は好意でタダで貸しましたけど」

営業マン「いえいえ、今回の依頼は違います。今回の依頼は、修治さんが街の力自慢っていう設定で出場して、正体隠して賞金狙いに来ているアームレスラーを倒して優勝してほしいんですよ。うちの社もどうせ賞金10万円を上げるなら、広告でお付き合いしているクライアントさんである修治さんに賞金を持って行ってほしいんですよ。それに本来なら力自慢・腕自慢の素人さんだけが参加する資格の大会に、セミプロが正体隠して出場しているのってズルいと思うんですよ。だからお願いします。あ、出るなら修治さん、以前は銀座で寿司職人やっていたって言ってましたよね?!だから寿司屋の白衣を着て下駄履いて、その格好で試合をして欲しいっていうのが、こちらの依頼です」

自分「いやぁ、しかし優勝してくれって言っても、今回出るのは本職の人間ばかりなんでしょ?!そりゃちょっと難しいですよ。いや、出るだけなら出ますよ。まぁ出ればそこそこ上の方まで行くでしょう。でも優勝が絶対条件っていうのは、ちょっと・・・どんな強い選手が出てくるか分からないじゃないですか?それに今回も力自慢の素人さんが出るんでしょ?!前回の高いレベルを知ったうえで、出てくる力自慢の素人って多分すっごく強い人達ばかりですよ。下手したら経験者よりも強い連中出てくるかもしれないのに、それで優勝が条件っていうのは、さすがに僕も“どうなるか分からない”としか答えられないですよ」

営業マン「えぇ、その点なんですけど、フジテレビが主催したGO腕グランプリの準優勝者がエントリーしてきているんですよ。」

自分「え?!なんで、そいつ堂々と実績なんか申込用紙に書いてきて、審査通ったんですか?GO腕グランプリって、あれも素人参加型なんて謳ってはいましたけど、実際に出ていた奴らは皆、アームレスラーばかりでしたよ。」

営業マン「GO腕グランプリは、今修治さんが言った通り、表向きは“素人参加型”だから、GO腕の準優勝者は一応腕相撲が強い素人って扱いなんです。だから審査通っちゃったんです。」

自分「えぇ~?!GO腕の準優勝者っていったら、相当強いですよ。そんなのが出ているなかで優勝が絶対条件って無理ですから(半ば逃げ腰)」

営業マン「無理でもなんでも、とにかく正体隠して賞金狙いに来ている奴らに一泡吹かせてやってください。で、出来れば優勝してください。あいつらにだけはすんなりと賞金渡したくないのです(;´Д`)」

自分「まぁ出るだけなら・・・それで、まぁ頑張れるところまで頑張れば良い・・・という条件なら出ましょう。しかし、自分だって経験者なんだから、その自分が出るのは何か違う様な・・・それに、レフリーを今回もやるらしい自分の先生は何と言ってるんですか?自分も経験者だから、そんな自分が出るのは面白くないんじゃないですか?」

営業マン「あっちが正体隠して賞金取りに来ているんだから、こちらも本職用意するしかないですよ!レフリーやってもらう修治さんの先生の件は、大丈夫です。今回のいきさつ話していますし、修治さんがうちの社のクライアントだという事で、今回の依頼をしているのも理解していますから」

自分「じゃあ、まぁ、はい。分かりました。出ましょう。言っときますけど、優勝できる保証なんて、本当にどこにも無いですからね。本気で賞金10万円欲しくて、マジで勝ちに来ている実力者ばかりなんですから。それに力自慢の素人さんだって油断ならないし・・・で、それだけですか、そちらの依頼は」

営業マン「いやぁ~了承してもらえて良かったです(笑)あ、あと一つ条件があります。それは今回エントリーしている選手達一人一人にお願いしている事なんですけど、入場曲を一人一曲ずつ、大会当日に持ってきてもらう事になっているんです。各選手がリングに上がる際に入場曲として流しますから。修治さんは、寿司職人の白衣を着てもらうわけだから、演歌なんか良いんじゃないですか?ははは(笑)・・・」

それから数日間、夜は緊張でまんじりと眠れない日々を過ごした。新宿の三光白衣に行って、寿司職人の白衣と下駄を買ってきた。領収書はナイタイマガジンで切って。
当時勤めていたヘルスの従業員の前で、事のいきさつを話し、白衣を着て下駄を履いて見せ、「当日はこの格好で試合するのが、先方の依頼なんだ」と言ったら、皆ニヤニヤ笑っていた。

入場曲は、演歌が良いとの事だったが、自分の好みで、演歌じゃなくムード歌謡の美川憲一の“柳ケ瀬ブルース”にして、CDの中に焼いた。後は大会当日の日曜日を迎えるばかり。

そして、大会当日、日曜日がやってきてしまった・・・(続く)

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