この前仕事の後に、新宿3丁目で一人で飲んだ。
たまたまある店に入っただが、そのお店は魚と日本酒をウリにしているお店だった。
3丁目を自転車でぶらぶらしていて見つけた店で、入るのは初めてだった。
自分が座ったカウンターの隣には、左に男性の一人客、右には20代後半くらいの女性と40代前半くらいのスノッブな感じの男性が座って、酒を飲んでいた。
酒場などでよく遭遇するのが、隣の席などに座った客のトンチンカンな会話だ(苦笑)
その女性連れの気取った感じの男性は、日本酒のうんちくをのたまいながら、酒を飲んでいたのだが、映画「男はつらいよ」の主演俳優を“渥美二郎”と話していた。
自分はよっぽど「あの~横から失礼ですが、渥美二郎は“夢追い酒”や“出逢い川”などで有名な演歌歌手で、映画の方は渥美清では?!」と、言いたかったのだが、カップルだったので出しゃばるのは止めておいた。
口はムズムズしたけど(笑)
その店自体も変な店だった。
ダウンタウンの松本似の坊主頭の主人がやたらと不愛想で威張っていて、客は大人しく・・・というよりは、なんだか縮こまって酒を飲んでいて主人の顔色をうかがっている様な感じ。
漫画「美味しんぼ」の山岡さんなら、途端に不機嫌になって、席を立って店を出てしまう様な感じの店・・・と言えばイメージは湧くだろうか。
熱燗を頼んで1合だったので、すぐに飲み終わってしまい冷やを頼もうとして、メニューを見たら1つも知っている酒がない。
仕方ないので「冷やを1合。銘柄は何でもよいから」と言ったら、主人が「何でもよいって言われるのが、一番困るんだよねぇ」と不愛想に一言。
そう言われると仕方ないので、いい加減に「じゃあ左から2番目のやつ。あとしめ鯖」と注文した。
主人は自分がいい加減に注文したそのメニューの左から2番目の冷や酒をコップに入れてカウンターに置き、しばらくして自家製のしめ鯖をこちらに渡しながら「どうぞ、しょう油付けないで召し上がれると思います」と言った。
流石主人が頑固そうなだけあって、変なこだわりを持った店だった。
冷やを飲みながら、主人の言葉を無視して、しめ鯖にワサビと醤油をたっぷりと付けて食べたのだが、おかしかったのが両隣に座っている客の反応で・・・・・
主人が「しめ鯖はしょう油つけないで大丈夫です」(むしろ付けないで食べてくれみたいなニュアンスだったのですが)と言った直後に、自分が小皿にしょう油を注いだのを見て、特に女性連れのそのいけ好かない感じの男性客はギョッとし、ワサビと醤油をつけてしめ鯖を口に運ぶのを注視していた。
しめ鯖自体は普通に美味しかった。まぁ自分が職人やっていた頃によく作ったしめ鯖よりは、やや味は落ちますけど。
試しに主人が言っていた醤油をつけない状態でも食べてみた。
こちらも別に悪くなかった。でもやっぱり“しょう油付けた方が美味しいな”と思った。
頼んだ冷やも1合だったから、すぐに飲み終わってしまい、これ以上この店で飲んでいよう・・・という気にならなかったので、お会計を済ませた。
お会計の額はいたって普通だった。別に主人の意向に従わなかったからといって、高くなることもなかった。
新宿3丁目の雑居ビルの地下1階の店です。日本酒の銘柄もこだわっているのかもしれませんけど、その割には自分が知っている酒が1つもなかった。
不愛想な主人の顔見ながら酒飲むのがお好きな方にはお奨めいたします。